【キャリコン学科試験】スーパーの頻出論点はコレだ!【過去問徹底解剖】
過去問を徹底的に分析して、頻出理論家の重要論点をまとめて紹介しています。今回は、頻出理論家である『スーパー(Super, D. E.)』を取り上げます。スーパーの影響を受けている理論家は多くいますので、しっかり押さえておきたいところです。
過去問では下記の通り、スーパーに関して数多く出題されています(①問題文に『スーパー』の文言を含んでいる場合、②問題文には含まれていないが、解答が『スーパー』である場合を含む)。
記事作成者の私は、第15回キャリアコンサルタント試験を高得点で(学科84点、実技125点/内訳:論述44点、面接81点)一発合格しました。現在は(株)TADAJUKUのWebマーケティング部としての活動も行っています。
職業的発達理論
スーパーはキャリアに関する包括的理論を打ち立て、発達論からのアプローチは職業選択の一時点にとどまらず、生涯にわたるキャリア発達の解明に焦点を当てている点が特徴的です。
スーパーの基本的な考えは、下記の3点です。
- 個人は多様な可能性を持ち、様々な職業を選択することができる
- 職業発達は個人の発達の一つの側面であり、知的・情緒的・社会的発達などと同様に発達に一般的な原則に従う
- キャリア発達の過程は、職業を通して自己概念を実現することを目指した漸進的、継続的、非可逆的なプロセスである
- スーパーは、特定因子理論と自己概念理論を統合することで、職業(キャリア)発達が構築でき、キャリアカウンセリングに有効な理論が提供できると考えた。
- スーパーは、キャリア発達に役割の視点(Life space)と時間の視点(Lifespan)を取り込み、ライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチを提唱した。
- 思春期のキャリア発達の中心的なプロセスは「成熟」、成人期のキャリア発達の基本概念は「アダプタビリティ(適応力)」とした。
- 職業発達は、個人の全人的な発達の一つの側面であると考えた。
自己概念
スーパーは数多くの重要な理論に貢献したが、キャリア発達は自己概念を実現する過程であるとする理論を特に重視しています。スーパーは、自己概念を、個人が自分自身をどのように感じ考えているか、自分の価値、興味がいかなるものかということについて、「個人が主観的に形成してきた自己についての概念」(主観的自己)と「他者からの客観的なフィードバックに基づき自己によって形成された自己についての概念」(客観的自己)の両者が個人の経験を統合して構築されてゆく概念であると説明しています。
- キャリア自己概念は、自己と他者、自己と複数の環境との相互作用のなかで修正、調整される。
- キャリア自己概念は、ある時期(特定の発達段階)に決定されるものではない。
- キャリア自己概念は、個人が職業に関連すると考える自己の特性群を指している。
- 「個人が主観的に形成してきた自己についての概念」(主観的自己)と「他者からの客観的なフィードバックに基づき自己によって形成された自己についての概念」(客観的自己)の両者が、個人の経験を統合して構築されていく概念である。
- スーパーの職業発達理論では、個人が、自分自身を、そして環境として職業社会をどのように見るか、という主観を重視する。これを職業的自己概念という。
ライフ・キャリア・レインボー/アーチモデル
ライフ・キャリア・レインボーは、その期間や情緒的な関与の視点から、人が生まれてから死ぬまでの間ライフ・キャリアをどのように構成するのか視覚的に描写したものです。ライフ・キャリア・レインボーでは、キャリアを役割と時間軸の2 次元で捉えています。
役割の方は「ライフ・スペース(life space)」と呼ばれ、①子供②学生③余暇人(余暇を楽しむ人)④市民(地域活動など地域への貢献の役割)⑤労働者⑥配偶者(妻・夫)⑦家庭人(自分の家庭を維持管理する)⑧親⑨年金生活者があります。これらは労働者であり、家庭人という形で重複可能であり相互に作用を及ぼします。
ライフ・キャリア・レインボーの時間軸は、ライフ・ステージ(life stage)」と呼ばれ、これがスーパーにおける発達段階です。ライフ・ステージは「成長」、「探索」、「確立」、「維持」、「解放」の5段階で構成されています。
ライフ・キャリア・レインボーの考えを基盤としながら、個々人が現実を直視して、生涯にわたり変化する多様な役割を演じ、自分の人生を構築することができること、個々人が自己と環境に対峙して、さらに、実行に移しやすいモデルを提供することを目的として、アーチモデルを構築しました。したがって、このモデルは、理論的にはライフ・キャリア・レインボーと変わりはありません。
(1)下部(基礎)
土台は「生態的-地理的」要素。生まれた国や場所など。
(2)左の柱
個人的要因(欲求、価値観、興味関心、知性、才能・素質、特殊な才能など)
⇒これら「パーソナリティ」とまとめている
(3)右の柱
社会環境的要因(労働市場、社会、経済、同僚・仲間のグループ、ファミリー、学校、コミュニティ)
⇒これらを「社会政策」とまとめている
(4)上部
上部中央に「自己」。その左右湾曲にそれぞれ「役割、自己概念」「発達段階」が示されている。
- スーパーは晩年に発表した「ライフキャリアレインボー」を改定し、「アーチモデル」を発表した。
- ライフ・キャリア・レインボーでは、キャリアを役割と時間軸の2 次元で捉える。
- 役割とは、①子供、②学生、③余暇人(余暇を楽しむ人)、④市民(地域活動など地域への貢献の役割)、⑤労働者、⑥配偶者(妻・夫)、⑦家庭人(自分の家庭を維持管理する)、⑧親、⑨年金生活者の9つである。
ライフ・ステージ
スーパーはエリクソンなどの生涯発達モデルをもとに、5段階からなるライフ・ステージ論を提唱しました。5段階とは、①成長期(~14歳ごろまで)、②探索期(14~25 歳ごろまで)、③確立期(25~45 歳ごろまで)、④維持期(45~65歳ごろまで)、⑤下降期または解放期(65歳~)です。「せぃ、たかいか?」、「せぃ、たかいっすか?」の語呂合わせで覚える方が多いですよ。
5段階には、それぞれ発達課題があります。キャリア発達は、暦年齢にゆるく関連した予測可能な発達課題、あるいは年齢との関係をもたず不連続で予測不能な適応課題によって促されます。
- 成長段階、探索段階、確立段階、維持段階、解放(衰退、下降)段階の5つの段階である。
- 生涯を通じた一連のライフ・ステージは、マキシ・サイクルと呼ばれる。
- スーパーは、職業的発達段階における各段階の間には、暦年齢にゆるく関連した「移行期」があるとした。さらに、その移行期にはミニ・サイクルが含まれるとしている。
- 各発達段階の間には、移行期があり、ミニサイクルと呼ばれる、再探索、再確立の過程があると述べている。
- 転職、異動、定年など変化のたびに新たなミニサイクルが発生し、その都度マキシサイクルのなかで小さなミニサイクル「新成長-新探索-新確立」が螺旋状に繰り返され、キャリアは次第に発展していくと述べている。
- スーパーは、ライフ(キャリア)ステージの中で中年期とは「確立」の後半から「維持」の前半ぐらいの期間であるとした。
- スーパーは、職業についての希望を形づくり、明らかにし、実践していくことが探索段階の発達課題であるとした。
- 「本質的な行動に焦点を当てる」、「自らの限界を受容する」、「獲得した地位や利益を保持する」ことは維持段階の課題に該当する。
- 「希望する仕事をする機会を見つける」ことは、確立段階の課題に該当する。
- スーパーは、老年期を「解放(衰退、下降)段階」とし、「身体的、精神的な力量が下降するにつれて、職業活動は変化し、そのうちに休止する」と考えた。
- スーパーは、キャリア発達が職業的自己概念を発達・実現していくプロセスであると考え、職業的発達段階を提唱した。
- 成人期以降のキャリア行動はその個人の暦年齢ではなく、社会的年齢によって規定される。社会的年齢は社会的規範によって影響される。
職業適合性
スーパーは、個人が自己をどのように認知するかは、職業選択をはじめとするすべての人間の行動に影響する構成概念であることは認めています。しかし、職業選択、就職、適応、昇進、退職など一連の行動のダイナミズムは、人と職業および人と社会環境との相互関係のダイナミズムでもあることを理念としており、その一つの行動として「人と職業との適合」、いわゆる職業適合も重要であると考えました。
- 個人と職業との関係をダイナミックに説明するため、人と職業の適合のダイナミズムを解釈し、それを適切に評価するために「職業適合性」を整理した。
- 空間視覚(Spatial Visualization)は能力(Ability)に含まれる。
- 価値観(Value)はパーソナリティ(Personality)に含まれる。
- 精神運動機能(Psycho-motor)は能力-適性に含まれる。
- 知覚の早さ・正確さは能力-適性に含まれる。
14の命題
スーパーはキャリア発達に関する継続的研究から得られた知見を集大成し、「命題」という形で簡潔にまとめて公表しました。最初に提起された10の命題は、その後に2つの命題が追加され、さらに、パーソナリティ理論および役割理論との統合を目指して、最終的に14の仮説命題をもって自分のキャリア発達の理論的アプローチを明確化しました。
- スーパーは、キャリア発達の理論的アプローチの14の命題の一つとして「キャリア発達とは、職業的自己概念を発達させ実現していくプロセスである。」を挙げた。
- スーパーは、個人は多様な可能性を持っており、さまざまな職業に向かうことができると考えた。
- 「自己概念」は、時間や経験とともに変化するとし、選択と適応において連続性を提供しながら青年期後期から晩年にかけて安定性を増していくとした。
- 自己概念は、青年期以前に形成され始め、青年期にさらに明確となり、青年期に職業的用語に置き換えられる。
まとめ
今回は「スーパー」について、解説しました。
スーパーの理論は幅広いので、すべてを理解しようとすると、とても時間がかかります。過去問を中心に頻出論点を絞って“省エネ学習”していきましょう。
— 参考書籍 —
- 新時代のキャリアコンサルティング(労働政策研究研修機構 (編集)、労働政策研究・研修機構= (編集))
- 職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査
- キャリアコンサルティング理論と実際[第5版]木村 周(著)
- 新版キャリアの心理学[第2版]渡辺 三枝子 (編著)
- キャリアカウンセリング 宮城 まり子 (著)
- 働くひとの心理学 岡田昌毅(著)
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