【キャリコン学科試験】シュロスバーグを過去問から徹底解剖!
過去問を徹底的に分析して、頻出理論家の重要論点をまとめて紹介しています。今回は、頻出理論家TOP3である『シュロスバーグ』を取り上げます。
過去問では下記の通り、シュロスバーグに関して数多く出題されています(①問題文に『シュロスバーグ』の文言を含んでいる場合、②問題文には含まれていないが、解答が『シュロスバーグ』である場合を含む)。
記事作成者の私は、第15回キャリアコンサルタント試験を高得点で(学科84点、実技125点/内訳:論述44点、面接81点)一発合格しました。現在は(株)TADAJUKUのWebマーケティング部としての活動も行っています。
シュロスバーグは『転機(トランジション)』を個人における出来事として捉える
『転機(トランジション)』には、下記の2つの考え方があります。
- ある年齢段階において人々が共通に遭遇する出来事や課題があり、そうしたライフ・イベントや課題を乗り越えながら、人は次の発達段階(ステージ)に移行していくという考え方。この場合、転機(トランジション)は、今のステージから次のステージへの移行を意味する。
- 結婚、離婚、転職、引っ越し、失業、本人や家族の病気などのように、トランジションをそれぞれの個人における出来事として捉える。
シュロスバーグの転機の捉え方は、2に該当します。また、人生をさまざまな転機(トランジション)の連続として捉えるところに特色があります。キャリアは、さまざまな転機を乗り越える努力と工夫を通して形成されます。シュロスバーグの研究は人生に大きな変化をもたらすような転機に注目し、そのプロセスの理解と、転機を乗り越えるための支援方法を体系化したものです。
- シュロスバーグのトランジションは発達段階の移行期とは異なり、結婚、離婚、転職、引っ越し、失業、本人や家族の病気などのように、トランジションをそれぞれの個人における出来事として捉える。
- シュロスバーグによれば、キャリアの転機が生じた場合、トランジションの理論(トランジション・モデル)の立場に立って、支援者が積極的に速やかな対処を促すことが大事である。
- トランジションとは、個人の人生におけるその人独自の出来事であり、そのうちいくつかはその人の人生において大きな転機となる出来事であるとした。
- シュロスバーグは、「この転機や変化は、決して予測できるものでも、人生途上で誰もが共通して遭遇する出来事でもない」と述べている。
- シュロスバーグも、重要なのは、「出来事そのものではなく、それをどう受け取るか、それにどう対処していくかであることを強調」しており、「クライアントが問題に対処する方策として、情動中心の対処、問題中心の対処という2つのレパートリーを掲げている」。
転機のタイプは、「イベント」と「ノンイベント」の2種類に大別される
シュロスバーグのキャリア理論では、転機に際してはそれを見定め、自身のリソース(4S)を点検した上で対処することが求められます。転機のタイプは、イベント型とノンイベント型の2種類に大別されます。
◆イベント型:「期待していた出来事が起きたとき」、「予想していなかった出来事が起きたとき」を示す。
<例>就職、転職、失業、引越、結婚、出産、病気、親族の死など
◆ノンイベント型:「期待していた出来事が起こらなかったとき」を示す。
<例>希望した会社に就職できない、昇進できない、結婚できない、子どもができないなど
また、もう一つの特徴として、転機の期間の中での「現在位置」を見る視点が提示されています。転機のプロセスは、①転機の始まり(喪失や否認)、②転機の最中(空虚と混乱)、③転機の終わり(嘆き、受容)に分けられており、こうした視点を持つことによって、転機を客観的に把握出来るようにしていると言えます。
- シュロスバーグは、転機は「イベント」と「ノンイベント」の2種類に大別されるとした。
- シュロスバーグは、転機を「期待していた出来事が起きたとき」、「予想していなかった出来事が起きたとき」、「期待していた出来事が起こらなかったとき」の3つに分類している。
- 転機の重要性の順番は、特にうたわれていない。
- シュロスバーグは、転機に際して、転機を客観的に把握できるようにする(準備する)ことを主張している。
- 成人の発達を考える際の視点として、「文脈的・文化的視点」、「発達的視点」、「ライフ・スパンの視点」、「転機の視点」の4つに整理した。
- シュロスバーグは、同じ転機であっても人生の過渡期に遭遇する転機は、個人にとって、より難度が高く感じられるものであるとした。
転機を評価する4つの視点は「①深刻さ②タイミング③コントロール、④持続性」である
転機を評価する4つの視点は、下記のとおりです。
- 転機の深刻さ
- 転機のタイミング
- 転機のコントロール
- 転機の持続性
転機は、通常、次の4つのうち1つまたは2つ以上の変化を伴う。
- 役割:人生の役割のうち、どれかがなくなるか、または大きく変化する
- 関係:大切な人との関係が強まったり薄れたりする
- 日常生活:物事をいつ、どのように行うかが変化する
- 自分自身に対する見方:自己概念が影響を受ける
- 転機を評価する際には、①転機の深刻さ、②転機のタイミング、③転機に対するコントロール、④転機の持続性の4つに視点を持つ。転機が役割、関係、日常生活、考え方をどの程度変えていくかで識別する。
- 成人の行動を理解するためには、個々人が自らの役割、人間関係、日常生活、考え方を変えてしまうような転機に注目することが重要であると考えた。
【キャリア転機の時の乗り越え方】シュロスバーグの「4S」:状況、自己、支援、戦略
キャリア転機の時の乗り越え方には、3つのステップがあります。なかでも、ステップ2の「4S点検」の4つは重要です。必ず、暗記をしましょう!
- 状況(Situation)
- 自己(Self)
- 支援(Support)
- 戦略(Strategies)
- シュロスバーグ(Schlossberg, N. K.)は、転機に対処するために、Situation(状況)、Self(自己)、Support(支援)、Strategies(戦略)という「4つの資源」を吟味し、活用することが必要であるとした。
- シュロスバーグの「4S」をカウンセリングに応用する場合も、ラポールの形成は必要である。
- 「どんな転機でも、それを見定め、点検し、受け止めるプロセスを通じて乗り越えていくことができる」とされている。
まとめ
今回は「シュロスバーグ」について、解説しました。
記事のポイントをまとめると、下記の通りです。
- シュロスバーグは、『転機(トランジション)』をそれぞれの個人における出来事として捉える
- 転機のタイプは、「イベント」と「ノンイベント」の2種類に大別される
- 転機を評価する4つの視点は、①深刻さ、②タイミング、③コントロール、④持続性である
- 【キャリア転機の時の乗り越え方】シュロスバーグの「4S」:状況、自己、支援、戦略
『過去問の論点』の部分は重要な頻出論点なので、試験までに覚えておきましょうね!
— 参考書籍 —
- 新時代のキャリアコンサルティング(労働政策研究研修機構 (編集)、労働政策研究・研修機構= (編集))
- 新版キャリアの心理学[第2版]渡辺 三枝子 (編著)
- キャリアカウンセリング 宮城 まり子 (著)
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