ドナルド・スーパー<自己概念を中心としたキャリア発達理論>
概要
キャリアは生涯にわたって発達し変化する。キャリア発達の過程は、職業を通して自己概念を実現するプロセス(職業的自己概念)。「自己概念」とは、自分は何者なのかについて、自らで主観的に考えてきたことと他者からの客観的フィードバックを統合して構築された自己イメージのこと。
ライフ・キャリア・レインボー
「ライフ・キャリア・レインボー」を提唱。キャリアを「役割(ライフスペース)」と「時間軸(ライフステージ(ライフスパン))」の2次元で捉える。
(1)役割(ライフスペース)
9種類の役割が重複可能で相互作用を及ぼす。
①子供②学生③余暇人(余暇を楽しむ人)④市民(地域活動など)⑤労働者⑥配偶者(妻・夫)⑦家庭人(自分の家庭を維持管理する)⑧親⑨年金生活者
※注意 学者によって7種類、8種類で説明する場合がある。
補足
「家」「地域」「学校」「職場」という4つの舞台で説明される場合もある。
(2)時間軸(ライフステージ(ライフスパン))
この5段階は、直線的に進み後戻りはない。
【職業選択の段階】
①成長期(~14歳):身体的発達、自分の興味や能力を探求する、仕事に関する空想
②探索期(15歳~24歳):自分にあった仕事を絞り込んでいく、仕事に就く
【職業適応の段階】
③確立期(25歳~44歳):専門性を高める
④維持期(45歳~65歳):スキルアップを図り役割、責任を果たす。自己実現。後半は退職後のライフキャリア計画をたてる
※スーパーは「中年期」を確立期後半~維持期前半だと捉えている。
⑤下降期または衰退期、解放期(66歳~)※注意 学者によって言い方が異なる:地域活動、余暇
やや違和感はありますが9種類の役割は覚えましょう。さらに、5段階のステージの名称を、年齢とおおよその内容とともに覚えること。
補足
5段階の一連のサイクルを「マキシサイクル」と呼ぶ。さらに、各段階の中に細かいサイクル、いわゆる「ミニサイクル」(新成長-新探索-新確立)があり、その中を行ったり来たりしながら螺旋的に繰り返されて成長していく。
アーチモデル
スーパーは晩年に「ライフキャリアレインボー」を改定して「アーチモデル」を発表。アーチの中にキャリア形成に影響を与える要因を整理して示した。
(1)下部(基礎)
土台は「生態的-地理的」要素。生まれた国や場所など。
(2)左の柱
個人的要因(欲求、価値、興味、知性、適性、才能など)
⇒これらを総合的に「性格」「業績」としてまとめている)
(3)右の柱
社会環境的要因(社会、経済、労働市場、地域コミュニティー、家庭、学校、仲間集団)
⇒これらを総合的に「社会政策」「職歴」としてまとめている
(4)上部
上部中央に「自己」。その左右湾曲にそれぞれ「役割、自己概念」「発達段階」が示されている。
理解
内的な個人的要因と、外的な社会的要因によって自己概念が形成されて、キャリアが形成される。
内容はかなり細かいので、左の柱と右の柱にどんなことが示されているのかザックリと知ったうえで、「自己概念」が最重要視されていることを忘れないでください。
14の命題
スーパーはキャリア発達研究から得られた知見を集大成として「(修正を繰り返し最終的に)14の命題」にまとめた。何個の命題にまとめたのかだけ覚える。
命題の主要概念
①キャリア自己概念
②人と職業の適合(職業適合性)
③ライフスペース/(ライフステージ(ライフスパン))
の理論的アプローチである。
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