エドガー・シャイン<組織心理学、組織内キャリア発達>
概要
キャリア・アンカーを提唱。個人が選択を迫られたときに、最も捨てたくない「欲求、価値観、能力」などのこと。職業生活において拠り所となるもので、船でいえば錨(⚓)。
キャリア・アンカーを確かめる3つの問いかけ
① 「何が得意ですか?」(才能、能力の発見)
② 「何をやりたいですか?」(動機、欲求の確認)
③ 「何をやっているときに充実感を得られますか?」(価値感の確認)
8つのキャリア・アンカー<個人のニーズを明確化>
まずは自分のキャリア・アンカーを数個押さえてから、残りは友人や仲間を思い出しながら、8個全部覚えましょう。
① 専門コンピタンス:特定の分野で能力を発揮したい
② 経営(全般)的コンピタンス:組織全体をまとめたい。組織全体の期待に応えたい
③ 安定/保障:経済的安定、生活保障を優先したい
④ 自律/独立:自分の裁量で自由に仕事を進めたい
⑤ 起業家的創造性:自らの力で新しいものを創り出したい
⑥ 挑戦:解決困難なことでもチャレンジしたい
⑦ 奉仕/社会献身:他者救済、社会全体へ貢献したい
⑧ 全体性と調和:仕事と生活のバランスを保ちたい
この分析は仕事経験がないと難しいので、学生、新入社員には基本利用しない。あと、職業とアンカーを1対1で結び付けないこと。例えば、キャリアコンサルタントも、①を重視する人もいれば⑥や⑦に幸せを感じる人もいる。<個人ニーズ>だけを満たしても仕事はうまくいかないので、次で説明する<組織ニーズ>を満たすことが重要。
キャリアサバイバル
組織ニーズを明確化するために「キャリアサバイバル(職務と役割の戦略的プランニング)」を提唱。簡単に言うと、自分の好きなことだけをやるのではなくて、組織の中での職務や役割を定期的にチェックしなさいということ。
3次元モデル(キャリア・コーン)
組織内でのキャリア移動を3次元モデル(キャリア・コーン)で説明。わかりづらい図ですが、組織の中でのキャリア形成(キャリア移動)について3次元モデルで表した人がシャインであることを必ず押さえておきましょう!
(1) 販売、製造などいろいろな職能(機能)の体験・・・図の底
(2) 一般職、管理職、経営層と昇進して、階層(地位)があがる・・・図の高さ
(3) 特定の職種(専門分野)で中心になっていく。例えば、製造部で主任補佐、主任、課長、統括部長など。・・・図の中心線
個人の役割に影響を与える3つのサイクル
人が生きていく上で影響を受けるサイクルを下記3つに分けて、それぞれにおいて「達成すべき課題の困難度、ストレス度合い(縦軸)」を「時間(横軸)」に照らし合わせて説明。個人の役割に影響を与えるサイクルを、3つの視点から説明していることがわかればOK!
(1) 生物学的、社会的サイクル:年齢によるサイクル。青春期、中年期、老年期など
(2) 仕事、キャリアにおけるサイクル:就職、昇進、引退など
(3) 家族関係におけるサイクル:結婚、子供が生まれる、子供の成長など
キャリア発達段階と課題モデルの9ステージ
キャリア発達段階と課題モデルとして、ステージ1~9で説明。年齢がダブってわかりづらいですが、ステージごとの名称と代表的課題を結び付けてさらりと確認しておきましょう。
<ステージ1> 成長・空想・探求(0歳~21歳)
代表的な課題:情報入手、モデルを見つける
<ステージ2> 仕事の世界へ参加(16歳~25歳)
代表的な課題:仕事探し、仕事選択、新入社員の役割
<ステージ3> 基本訓練(16歳~25歳)
代表的な課題:不安克服、企業文化把握、仲間意識
<ステージ4> 初期キャリア(17歳~30歳)
代表的な課題:効果的な職務遂行、能力再評価
<ステージ5> 中期キャリア(25歳~45歳)
代表的な課題:管理職、自信形成、家庭・仕事の再調整
<ステージ6 >中期キャリアの危機(35歳~45歳)
代表的な課題:将来選択、キャリアアンカー
<ステージ7 >後期キャリア(40歳~定年)
代表的な課題:リーダー、中年の危機対処、空の巣問題
<ステージ8> 衰え、離脱(40歳~定年)
代表的な課題:新たな満足源を模索、権力・責任低下
<ステージ9> 引退
代表的な課題:新しい役割、生活、コミュニティー