「キャリアコンサルタント実技面接ロープレ試験で、事象・状況把握の質問をしてもいいのでしょうか」という質問をたまに受けます。
もちろん、「OKですよ。事象・状況も把握していってくださいね」という回答なのですが、その状況把握の質問はマズイな、タイミングが悪いなと思うことは多々あります。
どのような事象、状況把握の質問がNGなのか、いろいろと紹介していきますね。
【キャリアコンサルタント面接対策】こんな状況把握の質問はNG
そもそも、インテーク(初回)面談において、キャリアコンサルタントは相談者さんのことをまったく知りません。
- どんな仕事をしているの?
- これまでどんな仕事をやってきたのか?
- どんなスキル、資格を持っているのか?
- どれくらいの規模の会社で働いているのか?
- 会社はどこにあるのか?
- 転職経験はあるのか?
- この仕事は初めての仕事なのか? etc
このように、当たり前ですが最初はまったく相談者さんのことがわからない状態です。
そこから、相談者さんが自由に話しをしてくれた事象、状況をどんどん積み上げて、立体的に理解をしていく感じですね。
こっちから事象・状況を聞かないといけない場面
でも、すべてを話してくれるわけではないので、タイミングを見ながら必要な事象・状況を把握しなければいけません。
あと、事象・状況を説明するのが苦手な相談者もわりといます。あっちこっちに話が飛んだり、わかりやすく説明できないんですよね。
なにを言ってるのかわからないケース。
こういったときには、キャリアコンサルタントがうまく事象・状況に関わる質問を投げかけて、理解をしなければいけないということです。
- 相談者さんは自身が必要だと考えている範囲で説明をするので、情報が不足することがある。
- 相談者さんの中には、説明が苦手な人がいることを忘れてはいけない。
やってはいけない!NG例の紹介
- 興味本位の状況把握
- 細かい状況把握
- 気持ち、価値観を話してくれたのに、すぐに状況把握
1)興味本位の状況把握
あなたが聞きたいことを勝手に聞いていく。
クライエントさんに興味を持つことは大事だけど、支援をしていくうえで関係のない単なる興味本位の状況把握の質問はNGですね。
なぜかというと、初対面では聞かれたくないこともあるわけです。土足で自分のテリトリーにズカズカと入ってもらいたくない。
基本、クライエントさんは自分が話せる範囲でしゃべっています。それなのに、気になったことを何でもかんでも聴くことは失礼にあたります。
ただ、興味本位なのか、興味本位でないのか、そのあたりは微妙ですよね。
少し事例を使って深掘りします。
興味本位の事例
CL:彼から先日プロポーズをされたんです。すごく嬉しくて有り難い話しだったのですが、彼がすぐに長期海外勤務になるとのことで、結婚してついてきて欲しいと言われました。せっかくプロジェクトリーダーとしての仕事も軌道に乗ってきたし、これから頑張ろうと思っていたので、プロポーズを受けるかどうかとても悩んでいます。
CC:彼からプロポーズされて嬉しかったけど、海外についてきて欲しいと言われたのですね。これから仕事を頑張っていこうと思っていたので、プロポーズをどうするか悩まれているとのこと。彼とは何年くらいお付き合いをされているのでしょうか。
(その他、興味本位の質問):彼とはどちらで知り合ったのでしょうか。
(その他、興味本位の質問):彼は何歳くらいでしょうか。
いかがですか。
何年くらいお付き合いしているか、どこで知り合ったのか、何歳くらいなのかなど、基本関係のないことですよね。
仮に半年か3年の付き合いなのか、そんな情報は絶対に不要とは言いませんが、今後の支援においてさほど必要ないわけです。
なので、こういった質問は興味本位の質問となりますね。
興味本位に当たらない事例
CL:最近、義母の体調があまりよくなくて、先日お医者さんに一緒に行ったのですが、今度一度精密検査をやりましょうという話になりました。私は今女性活躍推進のリーダーをやっていて、いま仕事を辞めたくないのですが、精密検査の結果によっては今後介護が必要になる可能性があります。今後、仕事と介護の両立をどうすればいいのか悩んでいます。
CC:義母さんの体調がよくないということですね。心配ですね。差し支えなければ、義母さんの体調についてもう少し教えてもらってよろしいでしょうか。
クライエントさんは、義母さんの体調について詳しく説明しなかったことを考えると、あまり言いたくない可能性はあります。
また、キャリコンは医者でもないし、義母さんの体調のことを知ってもどうすることも出来ないというのもわかります。
でも、キャリアコンサルタントとしては、緊急性、持続性(この場合介護がどれくらい続くのか)など把握できないと、今後の支援、方策を考えることができません。
こういったことを考えると、この質問は単なる興味本位の質問ではないと個人的に考えています。
2)細かい状況把握
細かいことを聞いていくのもあまりオススメしません。
もちろん、細かい事象・状況をお聞きすることで、クライエントさんが置かれている状況を詳細に把握できるメリットはあります。
ただ、そんな細かいことを聞いてどうなるの?それを知ったところで、悩んでいることがより深く理解できるわけではありません。
さらに、細かいことを聞くことで、全体像がぼやけてしまうデメリットも出てきます。
意味のない細かいことを聞く事例
CL:私は今家電の営業をしているのですが、面白くないので転職を考えていますが、いまいち自分の強みがわからず今後転職活動に向けてどうすればいいのか悩んでいます。
CC:家電の営業が面白くないのですね。営業は、法人営業ですか。それとも個人でしょうか?
(その他、細かい質問):営業はルート営業ですか。それとも飛び込み営業ですか。
(その他、細かい質問):家電は白もの家電でしょうか。
いかがですか。
仮に法人営業だということがわかったとしても、結局「面白くない理由」を把握しなければいけません。
であれば、すぐに「面白くない理由」を聞いたほうがわかりやすいですよね。
3)気持ち、価値観を話してくれたのに、すぐに状況把握
相談者が大事なことを話した場面で、状況把握の質問をするパターンですね。
これは、質問内容がわるいというよりは、タイミングが良くないということです。
ロープレには流れがあります。その流れにうまく乗ったほうがスマート。
面談のなかで、クライエントさんが悩んでいる原因や自分の考えなどお話する場面があります。クライエントさんの固有の考えなのだから、しっかりと理解すべきですね。
なのに、そんな大事な場面で状況把握の質問をすると深く理解できるチャンスを逃すことになるのです。
価値観を話してくれたのに、事象状況を質問するケース事例
CL:企画から営業に異動して約半年なのですが、企画のときはすごく楽しかったのに、営業は楽しいと感じることができません。お客さまに無理やり買わせている感じで、どこかお客さまをだましているような気持ちになるんですよね。
CC:企画のときは楽しかったんですね。企画ではどんな仕事内容だったのでしょうか。
いかがですか。
「お客さまをだましているような気持ち」というのは、クライエントさん固有の捉え方ですよね。
せっかく、深く理解できるチャンスだったのに、別の状況把握の質問をすることで違う話になってしまいます。
あとで、聞けばいいということなんですが、どことなく流れが悪いというか、話しにリズムが出ない感じがしますよね。
深掘りできるチャンスで、しっかりと関わることを意識しましょう!
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