「今の自分は過去に自らが自己決定してきた結果である」
私が好きな言葉です。
遺伝や環境に左右されるのは仕方ないことですが、それでも今の仕事内容や時間の使い方、友達関係など、自分で決定しているんですよね。
アドラー心理学で重要視される、いわゆる「自己決定論」です。
これは、キャリアコンサルタント試験においてもとても重要なこと。
相談者が「こうしたい」と言っているのに、それができない理由を常に理解してあげる姿勢。
ボンヤリ話を聴いていると、真の悩みを捉え切れないことも多いので注意が必要です。
今日は、自己決定を重視する支援について書いてみます。
自己決定論
たとえば、周りがめちゃくちゃ仕事が忙しそうで、誰一人として定時に帰らない。
そんな上司、同僚をみていると、私だけ早く帰ることなんてできない。
仕方がない。どうしようもすることができない。
でも、自分も残業することを自分で決めたんですよね。決してやらされているのではありません。
帰りたければ帰ればいいのです。
「そんなこといっても、そんな状況で帰れるわけがない」って声が聞こえてきますが、残る義務はないのです。ちゃんと勤務時間働いて、自分の仕事は終えています。
帰ろうと思えば帰れるのです。でも帰らないという選択肢を取ったのはなぜ?
スバリ! そっちの方が自分にとってメリットが大きいから。
- 空気を読めないやつだと思われる
- 協調性がないというレッテルをはられる
- もし自分が忙しいときに助けてもらえない
- 職場の雰囲気が悪くなる
- 冷たい視線をあびる など
一緒に残業することで、上記のようなデメリットを回避することができます。
なので、あなたは残業することを自分で選んだのです。
自分で選んでいることを受け入れる
どうしようもないことに感じることも、よほどのことがない限りは自分で選んでいます。
そうであるなら、選んだことに対して前向きに行動していけるといいですね。
疲れ方が変わる
自分が嫌々やらされているのか、自分でそれを選んだでやっているのかによって、疲れ方は変わります。
どうせ、同じことをやって、同じ時間を過ごすのなら、自らで選択決断したことに前向きに取り組んだ方が良いに決まってます。
「くっそー、なんで残業しないといけないんだ」って思いながら負の感情いっぱいで残業するのと、「1分でも早く終われるためにどんな方法があるかな?何か手伝えることはない?」とプラスの感情で取り組むのとでは、エネルギーの使い方が違いますよね。
キャリアコンサルタント試験でも相談者の自己決定権を忘れてはいけない
私は常に相談者の自己決定権を重要視しています。
たとえば、こんな事例を考えてみましょう。
相談者:24歳女性独身、大手金融会社
CL:働いて2年たつのですが、入社して半年くらいたった頃から金融業界で働いていくことに対して不安が出てきました。入社当時はあんまり考えずに入社したのですが、金融業界の現状を目の当たりして、ニュースなどでの特集を見るとこのまま続けたくないという気持ちが強くなりました。それに、窓口業務も好きではないし、同僚、先輩に話を聞いてもやってみたい仕事はまったくないんです。上司、先輩との人間関係もよくなくて。転職するんだったら早いほうがいいかなと思っています。
どうですか?
この話を聞いて、どんなことを聞いていきたいですか?
いま、どんな支援をしていきたいとイメージしていますか?
もしかすると、こんな支援がアタマのなかをよぎったかもしれません。
相談者は自己決定権がある
上記のような支援も必要な場合もあるでしょう。
ただし、クライエントはそもそも自分で決めれるのです。
そんなに業界に不安で、仕事内容も面白くなくて、人間関係もよくないのであれば、辞めて転職活動すればいいのです。
なぜ、その選択決断をせずに、今日相談にきているのか?
ここが、わからなければ本質をついた支援ができないということです。
これが私がいう「自己決定権」を大事にする支援ですね。
奥底にある本当の悩み
たとえば、なぜ選択決断をできないのか聞いてあげると、
という答えが返ってくる可能性もあるのです。
であれば、今日の相談というのは「親との関係性」ということになります。
このあたりが熟練レベルになると、相談者の奥底にある本当の悩みを掴み取るまでが非常に早いし、スマートなんですよね。
今日は、自己決定論を大事にする支援について解説しました。
日々、対人支援の幅を広げる訓練をしていきましょう!
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