キャリアコンサルタントは、クライエントさんの話をゆったりと寄り添いながら聴く能力と、ある程度「見立て」を立てながら展開する能力が必要になります。
寄り添いながら聴いているだけでは、クライエントさんのどこに問題があるのかがわからない場合も多々あります。
そこで、キャリアコンサルタントはある程度問題になりそうなことを「見立て」ながら、確認を取って進めなければいけません。
この「見立て」とは、どのようなことを言うのか。「見立て」と「決めつけ」は違うのか。「見立て」能力の身につけ方などについて、解説していきます。
【キャリアコンサルタント試験面接対策】どこまで「見立て」は必要か?
国家資格キャリアコンサルタント試験合格のためだけだと、「見立て」能力はそれほど必要とされないかもしれません。
ただ、実務でクアイエントさんに貢献するためには、どこが「問題」になっているのか。どの部分を突っついていくことで問題解決の糸口が掴めるのかなど「見立て」が必須となります。
クライエントさんは、自分の今の状況や気持ち、悩みを自由に話をされます。
問題の渦中にいるわけですよね。
どうすれば、今の状況を少しでも改善できるのかわからなくなってしまっている。
だからこそ、わかってもらいたいから色々話をするわけです。
でも、キャリアコンサルタントはクライエントさんの状況、これまでの行動、周りに支援者がいるのか、意思決定のための情報収集ができているのかどうかなど、知らないことが多すぎます。
なので、解決に繋がるヒントを効果的かつ効率的に収集していかなければいけません。
もちろん、見立てとまったく違う場合もあるし、見立てどおりの答えの場合もありますね。
実力のあるキャリアコンサルタントであれば、この確率が高いことは言うまでもありません。
「見立て」と「決めつけ」は違うのか
キャリコンの勉強をしたばかりの方から、『「見立て」と「決めつけ」は違うのでしょうか?』という質問を受けることがあります。
もちろん、違います。
「決めつけ」はクライエントさんに確認も一切とらずに、「そうに違いない」と決めつけて進めていきます。
こういった対応が「決めつけ」ですね。
「見立て」は違います。
あくまでも、キャリアコンサルタントは「もしかすると、こんな感じなのかな。」と見立てを持ちながら進めていますが、もちろん違うことがあるので、想定していない話が出てきたら都度、臨機応変に修正しながら対応していく感じですね。
ただ、イメージは湧きづらいと思いますので、少し事例を使いながら補足説明していきます。
「見立て」の事例
【キャリコン2級面接ロープレ改題】
Aさん:50歳男性、妻(50歳)、長男(19歳)、長女(18歳)と同居。
大学卒業後ずっと飲料水関係の会社に就職し28年目。最近、社長が変わり方向性も変わってきて、先が見えてきたと思うようになった。むかしから老後は地元石川県に戻りたいと考えていたため、転職するならば少しでも早い方がいいのではと思うが、地元での仕事をどうするかなど、具体的なことを考えると、これからどうすればいいのか分からなくなっています。
たとえば、ここまでお聴きして、キャリアコンサルタントしてどんなことを把握しておかなければいけないのか。
何が「問題」になっているのかを理解していきたいといった感じです。
【把握したいこと&見立て】
仕事のやり方が変わったのかな?
若返りをはかる方向性なのかな?
地元に愛着があるのかな?
地元では何をやりたいと思っているのかな?
老後(何歳くらい?)は石川県に帰ることは決めているのかな?いつ帰るのかタイミングの問題?
奥さんは反対しているのかな?子どもたちは?
転職のリスク、マネープランとかはどう考えているのかな?
上記のことを念頭におきながら、お話を聴きながら新しい情報をキャッチしつつ、足りない箇所を質問しながら補足していきます。
確認していきたいこと
- 社長が変わり方向性も変わったとのことですが、具体的にどんな感じに変わったの確認
- 方向性が変わったことで、同年代の方や同僚などと何か話をされたか確認
- この28年間、どんな想いでお仕事頑張ってきたか確認
- 老後は地元に戻りたいというのはいつ位から考えていたのか確認。理由は。
- 地元での仕事について、何か情報を集めているかの確認
- 地元に戻ることについて、家族と話し合いはされたかの確認
- 地元への転身となると収入面にも大きな影響があるかと思いますが、今後のマネープランについてはどのように考えているかの確認
「見立て力」を身につけるためにはどうすればいいのか?
では、「見立て力」はどう身に付ければいいのか。
簡単には身につかないのですが、多くの事例に触れること。それと「心理学」全般を学ぶことが大事だと考えています。
- 多くの事例にふれること
- 「心理学」全般を学ぶこと
1)多くの事例に触れることの大切さ
たくさんの相談を受ければ、同じ事例にならないまでもよく似たケースに遭遇します。
わかった気になるのはタブーだし、決めつけはもってのほかなのですが、やっぱりイメージができるのとイメージができないのとでは、「見立て」は変わります。
ここでいうイメージとは、実際に自分が体験しているとか体験していないとかは関係ありません。
イメージするためには、人の悩みに興味を持つこと
ただ、実際に相談業務についていない人はどうするのか?
問題ありません。
ネット、新聞、TVなど、ありとあらゆる媒体で悩み相談を目にしますよね。そういう「悩み相談」に耳を傾けるのです。
そういった悩みに対して、周りの方はどんな発言をするのか。どんな違った意見が出てくるのかを、とにかく興味をもって観察していくことですね。
これを繰り返すことで、必ずイメージするチカラは身についてきます。
2)「心理学」全般を学ぶこと
それと、あわせて「心理学」全般を学ぶべき。
相談業務って、「こころの問題を扱うこと」ですよね。
であれば、その学問である「心理学」は広く浅く勉強することが必要です。
- なぜ、人はこういった行動をするのか?
- なぜ、人はこういった気持ちになるのか?
- 認知の変化をかけるためにはどうすればいいのか?
- 自己効力感、自己肯定感をあげるためにはどうすればいいのか? など
こういったヒントは、すべて「心理学」で学ぶことができます。
かなり広範囲に渡りますが、コツコツと本を読んだり、コミュニティーで学び続けることで、「こころ」の勉強を続けていきましょう!
以上、【キャリアコンサルタント試験面接対策】どこまで「見立て」は必要か?について、解説しました。せひ、参考にしてくださいね。
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