2016年の国家資格化にともない、キャリアコンサルタント資格の人気は高まっていますが、実際この資格は価値があるのか。
キャリアコンサルタント資格を取得すると転職が有利となり、独立して稼ぐことも可能なのでしょうか。
私はキャリアコンサルタント試験対策講座を運営して7年、自らもキャリアコンサルタント登録して5年前に独立。
これまでに企業内キャリアコンサルタント、ハローワーク、大学のキャリアセンター、NPO法人など、いろいろな場所で活動をされている方々とお会いしてきました。
キャリアコンサルタントして実際に働かれている方のお話も含めながら、仕事の現状、年収、転職の優位性、独立の可能性性についてお伝えしていきますね。
【年収】キャリアコンサルタントの具体的仕事は?
そもそも、キャリアコンサルタントの仕事ってどんな範疇のことを言うのでしょうか。
これ自体が難しいところがあるのですが、ひとまずキャリアコンサルタント資格を保有し登録をしている方がどんな職に就いているのか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が調査した活動状況データに基づいて解説していきます。
主な活動の場 | 割合 |
企業 | 約34% |
需給調整機関(ハローワーク、派遣、転職・再就職支援) | 約20% |
学校・教育機関(キャリアセンター、キャリア教育) | 約17% |
この他にもいろいろな領域で活動されています。
医療機関 | 病院 | 患者さんの社会復帰・職場復帰の支援 |
がん患者就労支援 | 難病患者の就労 | 福祉領域 |
福祉施設 | 社会福祉法人 | 福祉事務所にて生活保護受給者等就労自立支援 |
生活保護受給者の就職活動援助 | 生活保護・困窮者 | 生活困窮者自立支援事業所 |
困窮者就職支援 | 生活困窮者就労支援施設 | 高齢者施設 |
高齢者支援 | 障害者の就労支援 | 障害者相談支援 |
障害者就労移行支援 | 障害者就労移行支援 | 地域活動支援センター |
就労自立センター | 就労支援センター(うつ病、発達障がい) | 依存症者の就労支援 |
ひとり親 | 犯罪被害者総合支援センター | 刑務所 |
矯正施設 | 矯正・更生機関(少年院、刑務 所) |
職業訓練校 |
職業訓練校 | 職業訓練施設 | 職業能力開発センター |
職訓短大 | 職業訓練委託機関 | 個人的なセミナー |
都の就業支援機関 | 行政の受託事業 | 官公庁受託事業 |
行政の受託時事業による女性の働き方改善 | 男女平等・ダイバーシティセンター | UJI ターン促進 |
子ども・若者総合相談センター | ジョブカフェ | 家庭裁判所 |
区役所窓口 | NPO | 若者支援の NPO |
市役所 | 電話相談ボランティア | 任意団体 |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が調査
このように、キャリアコンサルタントの活躍の場は幅広いことがわかります。
昔は需給調整機関で働くひとが多かった印象ですが、昨今では「企業内キャリアコンサルタント」の割合が増えていることが特徴です。
ただし、キャリアコンサルタントの勤務先は 1,000 人以上の大企業に勤められている人が多いのです。
これが何を意図しているのかというと、中小企業ではそこまで従業員キャリアコンサルティングまで手が回らないということですね。(キャリコンを目指す人も少ないというのが実情です)
得意分野(専門性)は?
では、もう少し細かくキャリコンサルタントの得意分野(専門性)はどのあたりなのかについても、同上の調査にもとづき紹介しておきます。
1若年者 | 2女性 | 3人材育成 |
4中高年 | 5キャリアデザイン | 6大学生 |
7非正規雇用社員 | 8ジョブ・カード作成支援 | 9組織開発支援 |
10高校生・中学生 | 11障がい者 | 12生活困窮者 |
(番号順に得意としている人が多い)
その他の専門分野は以下のとおり。
離職者全般 | 離転職者 | 職業相談と就活支援 |
再就職支援 | 復職支援 | 転職支援 |
職務経 歴書作成支援 |
人事労務管理 | 職場の離職相談 |
中間管理職 | 発達障害者 | 障害者雇用 |
生活保護受給者就労支援 | 母子家庭等就業支援 | 母子家庭等就業支援 |
シングルマザー | メンタルヘルス | 病気を持つ方 |
療養中 | 疾病患者 | 難病患者 |
がん患者 | HIV 感染者 | 受刑者 |
刑務所出所者 | 外国人 | 留学生・帰国子女 |
短大生・専門学校生 | ニート | 引きこもり |
不登校 | 中退者支援 | LGBT |
ここまで、キャリアコンサルタントの活動領域や専門分野についてみてきました。
おおよそイメージがついてきたと思います。
キャリコンはまだ若い資格なので、どんどん活躍の場は広がりを見せています。
キャリコンの将来性については、こちらの記事でも書きましたので良ければ読んでくださいね。
では、キャリアコンサルタントの年収についてみていきますね!
キャリアコンサルタントの年収はいくらなの?転職、独立の実際は?
年収区分 | 割合 |
200万円未満 | 約16% |
200万円~400万円未満 | 約33% |
400万円~600万円未満 | 約22% |
600万円~800万円未満 | 約14% |
800万円~1000万円未満 | 約8% |
1000万円以上 | 約8% |
これがキャリアコンサルタント登録をされている方の年収区分なのですが、まず1点だけ補足を。
わりと800万円以上の高年収の方が多いのですが、これは先ほども説明したとおり、キャリコン登録されているひとが大企業で管理職、役職に就かれているケースが多いということです。
あと、200万円未満ふくめ、400万円以下で約50%を占めています。
この理由は、需給調整機関、学校・教育機関で働いておられる方が、非正規雇用の割合が多いのです。
需給調整機関で働く方たちの実際
あまり細かくは書けませんが、私の仲間、知り合いは需給調整機関で働かれている方も沢山いらっしゃいます。
ハローワークで働く方たちから話を聞くと、非正規社員から正規社員登用されることは難しいとのこと。
年収ベースも250万円~300万円程度。
ひとつランクがあがる(ナビゲーター職)と、100万円ほどアップして400万円程度になるそう。
ただ、ナビゲーター職には実績と経験値が求められるので、簡単になることはできません。
転職の可能性は?
キャリアコンサルタント資格を取得することで、転職は有利になるのか。
正直、この資格があるからすごく有利に転職できるとはならないと思います。
ただ、これまでの経験、実績をベースにプラスアルファーでアピールできる場合は、相乗効果が考えられます。
たとえば、人事労務分野で約10年間勤務されているかたが、キャリコン資格を履歴書に書くことで、より信頼性が担保されることになるでしょう。
その他、対人支援関係の仕事に就きたい場合も、この資格がないと採用してもらえないケースもあるので、そういう意味では転職の武器になりますね。
独立の可能性は?
私は独立して5年立ちますが、これまでの経験とキャリアコンサルタント資格を組み合わせて、楽しく活動ができています。
ただ、キャリコンとして独立が可能か。年収はどれくらいなのか。という答えは正直難しいかなと。
というのも、このあと書きますが独立で成功するためには、キャリコンの資格に限った話ではなくて、自身に「強み」が必要になります。
その「強み」にキャリアコンサルタントが乗っかるだけですね。
だから、独立して稼ぐことは可能ですが、それは必ず自分に「強み」があることが大前提ということになります。
年収をあげるためにはどうすればいいのか?
では、最後にキャリアコンサルタントとして「年収」をあげるためにはどうすればいいのかについて私なりのアドバイスをさせて頂きます。
やはり一番大事なことは、キャリアコンサルタントの中でも「自分の専門分野は何か」を明確に言えること。
どちらにしても、キャリコン単独だと「強み」に磨きがかからないので自身の体験を組み合わせることがオススメです。
- 社労士資格と組み合わせて「助成金専門」のキャリアコンサルタント
- 組織開発を専門とするキャリアコンサルタント研修講師
- 障害者就職支援を専門とするキャリアコンサルタント
- 10代、20代の就職、転職支援を専門とするキャリアコンサルタント など
年収アップ方法については、基礎能力アップも必須になりますので、下記記事も参考にしてみてくださいね。
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